G君は与えられたノルマはきちんとこなし、おとなしく、どちらかといえばクールなタイプである。また、運動と学業の両面に優れ、几帳面で我慢強い性格が特徴である。個人主義的な面もうかがえた。模擬試験の結果では、G君の志望するH大とW大、K大は一応妥当な線だった。成績は前期に比べて急上昇していた。浪人してから、よほど根をつめて勉強したのだろう。高校時代からがり勉ではなかったのだが、中間試験や期末試験の時だけは猛勉強をして「友人から馬鹿にされない程度の、そこそこの成績」は上げていた。また、スポーツマンで端整な顔立ちだったので女子生徒たちからそこそこにもてていたそうだ。高校時代はのんびりと構えて英気を養い、浪人してから予備校で本格的に頑張ることに決めていた。実際にG君は浪人生活に入り、ここが正念場こと体力、気力の限界まで挑戦してきた。はじめのうちは余力があったので一気に成績が上がったが、後半戦は疲労から失速してしまったようだ。遊びと勉強には、もともとメリハリをつけるタイプだった。しかし、大学受験となると、それまでの定期試験とは違って勉強すべき量が膨大な上、「失敗すればまた一年間を棒に振る……」、そんな不安が昂じてきた。遊んだり息抜きをしたりすることなど、とてもできなくなったという。予習や復習は、一切、手を抜かずにきちんとこなしていた。このあたりに完璧主義的な性格がのぞいている。だらだら勉強することを自分に許さず、集中してスピーディーにこなさないと気がすまなかった。当然ながら精神集中を妨げる「うるさい音楽」は邪魔だった。疲労も加わって、いつも神経質になり、イライラするようになった。