ぼくの家は全面が屋上になっている典型的な箱型住宅だが、これも本当は勾配屋根にしたかった。つまり自分の家を建てる以上は、「棟を上げて」空に自分の家のスカイラインをくっきりと描きたかったのだが、そうしなかったのは、ぼくの家は親子兄弟が一つの敷地に住む共同住宅の一部だからである。敷地の東南に長く延びる別棟として建つぼくの家に勾配屋根を架けると、庭の日射しを大きくさえぎることになるので、屋根のことだけではなくすべての点でできるだけ低く建てるように配慮したのだ。
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両親と弟二人の家族が住む母屋は、高さ制限10メートルの範囲内に三階建てをつくるという厳しい条件のなかで敢えて勾配屋根が架けられており、その屋根がつくりだすシルエットのおかげで、この家全体が共同住宅でありながらマンション風にならず、一軒の大きな館という印象を与えているのは、まあ成功であったと思っている。ぼくの家はその母屋の足元に低い翼として突出し、全体の形を引き締めるためにも平らな屋上にせざるを得なかったのだ。そのおかげで親の庭を侵さずに、屋上の夕食やお花見などのささやかなアウトドアライフを楽しむことができるのは結構なのだが、屋根らしい屋根がない暮しには、家のスカイライン以外にも気になることがある。それはわが家の息子2人が「屋根に登るに経験を持たずに育っていくことである。そう思うのはぼく自身が子供の頃、屋根に登って遊んだときの何とも言えぬ気持が忘れられたいからだ。